特集 働く人のメンタルヘルス
職場のメンタルヘルス対策におけるEAPの意義と役割
島 悟
1,2
1東京経済大学経営学部
2産業精神保健研究所
pp.428-432
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100078
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2000年8月に労働省(現厚生労働省)から出された「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(以下「心の健康づくり指針」と略する)」は,わが国におけるメンタルヘルス対策において,新たな時代を切り開いたものと考えられる。この「心の健康づくり指針」においていわれている,いわゆる4つのケアのなかで,第1のセルフケア,第2のラインによるケア,第3の事業場内産業保健スタッフ等によるケアは,いずれも事業場内において行われるケアであるが,第4のケアである事業場外資源との連携は非常に重要な課題である。
この事業場外資源には,まず公的機関(産業保健推進センター・労災病院など)があるが,特定の事業場に対して継続的には関与できないという制約がある。また専門の医療機関や相談機関においては,産業保健に理解のある専門職は非常に限られているため,事業場内産業保健スタッフとの連携をとることが困難である。それゆえ,産業保健に関する理解があり,メンタルヘルスの分野における専門性を有するスタッフが提供するEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)が注目されているのである。
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