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特集 今後の産業精神保健の課題—近年の行政施策の動向をふまえて
諸外国における職場のメンタルヘルス対策と提言
Actions for Mental Health at Workplace in Other Countries and Its Implication to Japan
川上 憲人
1
Norito KAWAKAMI
1
1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
1Department of Mental Health, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
Job stress
,
Psychosocial factors at work
,
Risk assessment
,
Return to work
Keyword:
Job stress
,
Psychosocial factors at work
,
Risk assessment
,
Return to work
pp.49-54
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204836
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はじめに
日本生産生本部の企業調査では,最近3年間に「心の病」が「増加傾向」とする企業は29.2%,「横ばい」は58.0%,「減少傾向」は9.2%であり4),職場のメンタルヘルス不調が増加したままで推移していることを示している。2013年度に申請のあった精神障害などによる労働災害補償請求の件数は1,409件であり,これまでの最高件数を記録した5)。増加したメンタルヘルス不調者のために,企業では職場復帰支援(第3次予防)の負担が増加し,手詰まり感を感じている産業保健スタッフも多い。メンタルヘルス不調による休業者の増加は企業の経営や活力にも影響を与えていると認識されている。このため,効果的な第3次予防の方法論が求められる一方で,メンタルヘルス不調の第1次予防(未然防止)への関心が高まっている。本稿では諸外国における職場のメンタルヘルス対策の動向を紹介し,わが国におけるこれからの産業精神保健のあり方について述べる。
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