連載 職場のメンタルヘルス・13
キャリア開発と職場のメンタルヘルス
武藤 清栄
1
,
村上 章子
1
1東京メンタルヘルス・アカデミー
pp.348-352
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101170
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病院の格差が広がり,医師や看護師の偏在が起こっている中で,中医協は2008年2月13日に,2008年度の診療報酬の改定案を取りまとめた.その中で,課題であった開業医の再診料を引き下げることは見送られる一方で,200床未満の病院の再診料は引き上げられ,今後開業医と病院の差は縮められることになった.現在,特に産科や小児科を中心にした病院勤務医の負担は,想像を絶するものになっている.しかし,労働条件や施設設備,立地などに優れた病院では,医師や看護師が過剰なほど集まっていることもある.このような中で,病院間の転職を巡って様々な問題も生じている.他方,自分の仕事やキャリアについて悩むスタッフも多い.若い医師や看護師における病院での定着率が悪い中で,若い世代が仕事をどう見ているのか,職場にどんなことを期待しているのかといったことを考えてみるのは,とても重要である.大学生や大学院生の就職観を調査した結果1)では,「自分の生活と仕事を両立させたい」といった学生が最も多い.次に「社会に貢献できる仕事がしたい」が続いている.前者は自分の時間やプライベートを大事にしたいという意向であり,後者はやり甲斐や働き甲斐を求めている証拠である.今,若い人たちは,精神的にも充実観を希求し,そのため仕事と生活のバランスを取ろうとしている.これが「ワーク・ライフバランス」(コラム参照)である.
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