連載 私のフィールドノート・4
じゃんがら念仏
星野 晋
1
1山口大学医学部・文化人類学(医療人類学)
pp.365
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100066
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1985年,大学院に進んだ私は,最初の年,学部生・大学院生合同の調査実習に参加した。フィールドワークは,そのノウハウを現場での体験を通して学んでいく必要があるため,人類学や民俗学の課程ではこのような実習を用意しているところが多い。私たちの実習地は,福島県いわき市の中山間地域に位置する120世帯ほどの集落である。参加した学生7名は,担当教官の指導のもとで準備をすすめ,役割分担を決めて夏休みの本調査に臨んだ。
いわき市には,お盆の時期に青年会主体で行われる「じゃんがら念仏」という伝統芸能がある。浴衣にたすきがけ,はちまき,白足袋に草履という出で立ちで,自村や近郊の新盆の家を訪ね,鉦と太鼓にあわせて踊りを披露する。これを迎えた住人は酒や茶菓子でねぎらい,そして寸志を渡す。私はじゃんがら念仏について青年会に密着取材することにした。
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