連載 私のフィールドノート・3
子供の目線
星野 晋
1
1山口大学医学部・文化人類学(医療人類学)
pp.271
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100031
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手前ごとであるが,私は3歳の頃,父の仕事の関係でドイツのフライブルクという町に1年ほど暮らした。当時フライブルクでは日本人は珍しく,ドイツ人ばかりの幼稚園にいきなり放り込まれたのであるが,2週間後にはドイツ人の友達たちに日本語を教えている姿を見て,両親はほっと一息したらしい。子供の適応力,おそるべしである。でも記憶のどこかに暗いヨーロッパの冬の孤独感が残っている。
そのころのエピソードを1つ。ある日高熱が出た私を,親は大あわてでクリニックに連れて行った。ところが医師はナースたちを集めて,何やら興奮気味。実は私のお尻が青いことに気がつき,これがかの蒙古斑だと一席ぶっていたのである。親はそんなことよりも早く治療をと,気が気でなかったそうだ。
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