連載 フィールドワーク往復絵手紙・【最終回】
アクティブライフ宇部☆楽しむ
星野 晋
1
1山口大学医学部・文化人類学(医療人類学)
pp.1210-1213
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100616
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異文化は自文化の鏡である。伊達さんの伝えてくれた,イエメンに生きる人たちの目には,逆に私たちがとても不可思議な生活を営んでいるように映るかもしれない。実は日本の地域社会においても,独特なヘルス・ケア文化が形づくられていて,そのなかに皆さんの実践があるということに気がついてほしい。だから国際保健は日本の地域保健の鏡ともいえるのだ。というわけで最終回は皆さんのフィールドである地域保健について,私の住む山口県宇部市での体験を紹介しつつ語ることにしよう。
7年前に宇部に移り住んだとき,私は地方の工業都市宇部の土地柄,医学部をはじめとする医療専門職の独特なカルチャーになじんでいくための糸口がなかなかみつからないでいた。そんなあるとき整形外科の河合教授(現山口大学副学長)から,宇部市障害者ケア協議会というのを立ち上げるのだけれど,加わってみないかという誘いを受けた。この協議会は,宇部市の障害者問題について,行政,保健,医療,福祉,民間が一体となって検討していこうというボランティア的な活動団体であり,事務局は保健センターに置かれていた。この会において,宇部市の保健師さんたちと出会うことになったのである。
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