カラーアトラス 褥創・3
坐骨結節部の褥創―2
木村 哲彦
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター・第一機能回復訓練部
pp.246-247
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922727
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普通認める坐骨部褥創は,坐位を保持することにより持続する垂直方向への圧迫が原因となって局所(坐骨結節と座面とで挾まれる部分)に循環障害を生じた結果皮膚から皮下組織にかけて壊死を起こしたものである.これはおおむね200g/cm2以上の圧力が2時間以上続くと起こるものである.
今回掲載する例は,同じく坐骨部分に生ずるものであるが,発生の原因を若干異にしており,坐骨結節と座面とで挾まれた部分に側方向,あるいは,その部分を軸にして捻れの力が加わった結果生じる歪みの力により,組織内に微細な外傷を与えた結果生じたものである.すなわち,組織内損傷によって生じた内出血が原因となり硬結を生じ,そのまま吸収されないと嚢様の変化を来して浸出物(性状は濾出液のこともある)を貯留する.むろん,いきなり血液を貯留する程度の血腫を形成してしまうことも度々である。この階段で冷罨法を施したり,穿刺をしたり,さらに感染を起こさぬよう,抗生物質を与え,局所のストレスを避けるため安静をとらせるよう極力努力をする.しかしながら数多くの例では感染を回避できず,化膿して自潰する結果となり,結果的には脂肪組織内あるいは脂肪組織下に至る深い創を露出し,1つのタイプ(粘液嚢炎型)の褥創の状態に至るのである.
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