カラーアトラス 褥創・4
坐骨部褥創に併発した仙骨部褥創
木村 哲彦
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター・第一機能回復訓練部
pp.366-367
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922752
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褥創の発生原因については,今さらうんぬんするまでもなく,物理的な力,すなわち血液循環の障害を起こすのに必要な程度の強い力(1cm2当たり100g以上の力が2時間以上と考えられている)が持続した際に,局所が壊死に陥るために褥創に至るということはよく知られている.しかしながら,たとえ100g/cm2以下の圧迫力であろうとも,また2時間に至らなくても,局所の栄養状態の悪い場合には壊死に至らしめる圧力ははるかに低く,はるかに短時間である.低栄養の状態が局所に限局するのは極く一時期のみであり,ほとんどの場合,全身的低栄養が局所の低栄養をもたらす結果と考えてよい.
そして褥創が多くのものを失わせる源であることは十分理解できることである.血液成分の減少,そして感染が引き起こす炎症は,赤血球沈降速度を亢進させ,低栄養状態を全身に,そして局所に引き起こすのである.すなわち,褥創は低栄養状態を引き起こし,低栄養状態は褥創の発生を容易にする源であり,お互いに悪循環を繰り返す関係に至る.本症例もこのことを如実に物語っているといえよう.
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