特集 痛みと鎮痛剤—看護からの視点
癌末期患者と鎮痛剤—痛みをどこまで理解できるか
三浦 潤子
1
,
谷脇 佐代子
1
1神奈川県立成人病センター
pp.364-368
発行日 1980年4月1日
Published Date 1980/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922660
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はじめに
癌は原発臓器のみならず,周囲組織への浸潤や遠隔臓器への転移などにより,全身を侵すことも少なくない.治癒の見込みのない予後不良の患者は,死の転帰をたどるまで程度の差こそあれ痛みに苦しみ続けている.昼夜を分かたぬその痛みは,しばしば人格をも脅かす結果ともなる.私たち看護婦も癌末期の痛みに苦しむ患者に対して,少しでも安楽が得られる手だてはないものかと悩み苦しみ続けている.たとえ予後不良であろうとも死を甘受する必要はなく,癌と闘いながら生きるための援助をすることが癌患者の看護に携わる看護婦に求められることであり,人間が人間を援助することの意味を癌末期の痛みと闘う患者を通して考えてみたい.
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