臨床薬理学・3
痛みと鎮痛剤(その1)
保刈 成男
1
1日本大学医学部薬理学
pp.402-405
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916277
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痛みの病態生理
痛覚の伝導路
痛みの原因となる刺激は,まず末梢にある痛覚受容器で感知される.ここからのインパルスは2つの神経線維に沿って伝えられる.1つは伝導速度の早い有髄のAδ線維で,針で刺すような部位感のはっきりした鋭い痛みを伝え,他の1つは伝導速度のおそい無髄のC線維で,うずき,やけつくような,種々の反射現象を伴いやすい深部痛,内臓痛を伝える.
これらの線維は神経幹とともに走り、後根を介し,門調節系(Wallsら,1963)を経て脊髄後角のT細胞に至る(第1次ニューロン,末梢受容ニューロン).ついで大部分は交叉して反対側の側索に入って上行し,視床腹側核に至るが(第2次ニューロン,介在性ニューロン).脊髄で交叉しない一部の線維は前根を通って筋に達し,いわゆる反射弓をつくる.第3次ニューロン(中枢知覚ニューロン)は視床から大脳皮質の感覚中枢に,すなわち頭頂葉の後正中回に至る経路で,刺激はここに伝達されて疼痛として意識される.
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