特別論稿
看護婦に今求められるもの—精神衛生法改訂へ向けて
亀山 美知子
1
1京都市立看護短期大学
pp.370-375
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921691
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ある日,あなたが……
序にかえて
あなたは日常の会話の中で「精神衛生に悪い」などと軽い調子で使われる言葉を耳にしたり,言ったりしたことはないだろうか.では,「精神衛生法」という言葉を聞いた時,あなたはまず何を思い浮かべるだろうか.もし,あなたがとっさには何もイメージできなかったとしたら,「精神衛生法」はあなたの日常生活からは程遠いものだからではないだろうか.この法律の前身は,明治時代に制定された「精神病者監護法」であることからも分かるように,「国民の精神的健康の保持及び向上を図る」ことが目的とされながらも,直接的には「精神障害者等」が対象とされたものである.
一般的には,精神障害者というと自分とは異質な,かけ離れた存在として考えられやすい.「天才とキチガイは紙一重」などという揶揄があるが,優秀であろうとなかろうと,それらは非日常性のことであるには変わりはない.と,普通の人は思い込みやすい.それほどに「精神衛生」という言葉と「精神衛生法」には隔たりがある,そして,看護婦であるあなた自身もまた,この法律は自分の身近なものとしては考え難いものであろう.
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