巻頭言
今,医師に求められるプロフェッショナリズムとは
東田 有智
1
1近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
pp.7
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100959
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最近新聞などの報道でよく目にするのが,医療に関わる不幸な出来事,いわゆる「医療事故」である.これは明らかに医師側に過失があるものもあるが,医師が誠心誠意考え,精一杯の医療提供を行ったうえでの限界として,回避できなかったが故に不幸を招いてしまったという場合も少なくない.これらマスコミの過剰報道,それに続く患者の過敏反応などにより若い医師は怯えながら,日常診療にあたっていることも多々あると考えられる.しかし,日常診療において医師は常に正確かつ迅速な判断を求められる.そういうこともあり,診断・治療の平均化,あるいは統一化を図り医療の場に出てきたのがいわゆる「ガイドライン」である.元来診療ガイドラインというのはevidence-based medicine(EBM)の上に成り立っているものであるが,わが国のガイドラインには日本でのEBMが少なく,そのほとんどが欧米のEBMであるといっても過言ではない.ガイドラインを何の疑いもなく,また何の工夫もなく,最近の若い医師は聖書のように利用している.
診療ガイドラインが悪いと言っているわけではない.医師が患者を診療するにあたって,問診,理学所見,および検査所見から,まず医師自身が何を考え,どのように治療していくかを整理したうえで診療のガイドラインを参考に治療を進めていかなければならない.それには前述したEBMも必要であり,EBMのステップ4,すなわち「患者への適応-個別の患者にとって臨床的に意味のある治療かどうかを考える」というプロセスが大事である.そこで今,医師に求められるプロフェッショナリズムとは何かを考えてみる.
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