特集 ‘援助’と‘看護’の間—独り善がりな看護ケアからの脱皮を
患者の日常性の中から看護を引き出そう
近森 芙美子
1
1横浜市民病院
pp.280-285
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920720
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相手の心への働きかけ
Careという言葉は,普通‘世話’というふうに訳すけれど,それは単に‘世話’というよりも,‘配慮’あるいは‘心くばり’という意味合いを強く打ち出した方がよい.つまり,1つの行為に心がこもっているかいないかで,同じ行為がまるで違ってくるように私には思われるからである.
私の病棟の患者がある時‘寒い’と訴えるので,看護婦が‘では電気毛布をお貸ししましょうか?’と言うと,その患者(60歳男性)は,‘いや湯タンポにしてください.私が寒いのは心ですから……’と言ったという.結果的には同じ保温という目的を果たすのだから,別に電気毛布であってもよさそうなものだが,彼は湯タンポを強く希望した.そして‘電気毛布では心が温まらない’という意思表示もされたのである.
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