増大号第2特集 看護学生・教員エッセイ─入選エッセイの発表
学生部門
講評●患者の可能性を引き出すには
柳田 邦男
pp.738-741
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200284
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今年は応募作品が少なく,入選作も7点と例年より少なくて,選者としてはいささか寂しかった。それでも入選作についていえば,患者の心を読み取ろうとする姿勢,心の通うコミュニケーションの模索,患者の病状と心模様との関係への理解など,看護職に就く者として心得るべき大事なポイントについて,初めての臨床実習のなかで気づいていくプロセスが,具体的に書かれていて,そのみずみずしい感性に好感を抱いた。〈よくがんばっているな〉と。
それらのなかで,優秀賞として,異例のことだが内中貴子さんの「患者の心に寄り添うこと」と,西村ちあきさんの「A氏から教わったこと」の2作品を選んだ。これは,両者とも対処の難しい患者から反発され戸惑いながらも,心をつなぐ方法を探り,患者が心をほぐして治療に前向きになるまでのプロセスが相似形をなしていて,しかも読者に納得感を抱かせる表現力が同じレベルにあると感じたからだ。
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