グラフ
医と食と農の結合をめざす〈土からの医療〉—熊本県・菊池養生園にみる“食養生”の実践
竹熊 宜孝
1
1公立菊池養生園
pp.256-261
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919802
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熊本市の北東,阿蘇山麓の農村地帯の真ん中にちょっと変わった診療所があり,そこにこれまた風変わりなお医者さんがいる.公立菊池養生園の園長,竹熊宜孝先生である.ちょっと変わったというのは,ここではいわゆる薬はいっさい出さないし,注射もしないで,漢方・鍼灸・食事療法などの東洋医学的治療をする,その一方,成人病とか循環器検診,老人検診といった住民の健康診断や現代医学でいう内科一般の診療もするというように,東洋医学と西洋医学の混然一体となった独特の医療をしているからである.また風変わりというのは,竹熊先生が診療活動だけでなく,自ら畑を耕しクワを持つ“医者百姓”として,地域の人たちとともに‘いのちと土を守る運動をおこして農薬の害を訴え,有機農業に取り組んでいるからである.
竹熊先生はまた,農薬や食品添加物に汚染された食物と,食いすぎ・食いまちがい(食べ方),それにいわゆるクスリ漬けが,肥満・心臓病・糖尿病などの成人病をつくっていると説き,正しい食生活として玄米・雑穀・野菜・海草・大豆などの自然の“薬食”をすすめるユニークな“食養生”を唱え,それを養生園での診療の中心にすえ,自らも実践し,“養生説法”という健康教育・普及活動に力を入れている.
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