特集 遷延性意識障害患者の家庭復帰
障害をもつ脳腫瘍患者の自宅療養への援助
池上 美津子
1
,
百瀬 敬子
1
,
真壁 しのぶ
1
,
一山 幸代
1
,
斉藤 環美
1
,
出沢 知子
1
,
塩原 みつ子
1
,
下井 春枝
1
1信州大学医学部付属病院脳外科病棟
pp.38-41
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919442
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はじめに
予後不良と言われる悪性腫瘍患者も医療技術の進歩により,長期生存が可能となっている現在,医療従事者および家族が一体となり,患者の幸せを考えた治療・看護が益々必要と思う.当病棟は,約1/4が寝たきりの患者で占められ,緊急に治療が必要な患者の入院に支障をきたしている.そのため,急性期を過ぎると関連病院への転院を勧める現状である.しかし,多くの障害をもち長期の療養生活が必要な患者でも,可能ならば家族の一員として家庭の雰囲気の中で生活することが,患者にとっては最も望ましいと考える.
私たちは今回‘転院するなら家に帰りたい’と望んだ家族の言葉を足がかりに,多くの障害をもちながらも自宅療養へと援助できた事例を経験し,家庭のもつ意味の深さを改めて考えさせられた.その援助について報告する.
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