特集 遷延性意識障害患者の家庭復帰
植物様状態患者の退院時の問題と家族指導のあり方
寺川 佐知子
1
,
広瀬 公子
1
,
小幡 真由美
1
,
木牟礼 まり子
1
,
竹村 美智代
1
,
松本 良重
1
1奈良県立医科大学付属病院脳神経外科病棟
pp.32-36
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919441
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はじめに
脳神経外科における意識障害を伴った重症患者は,ある一定の急性期を過ぎると慢性化し,いわゆる植物様状態になることもまれではない.このような患者の転帰は合併症をもって死亡するか,より積極的な治療が見いだされないまま一般状態のみが安定し,長期入院となる場合が多い.当院では大学病院の特殊性として,こういった患者が発生したら,専門の病院を紹介して転院させるか,もしくは患者本来の生活の場に帰すようにしている.
さて,今回の論文の中心となる遷延性意識障害をもった患者は,基本的欲求そのものが広範囲に障害されているために,患者を家庭で看る場合,家族の全面的な介助を必要とする.このことは家族にとってかなりの負担であり,不安も大きい.そういった家族の負担や不安を少しでも軽減し,患者の基本的ニードを少しでも多く満たせるようにするためには,退院前の家族に対しての指導が極めて重要となってくる.
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