特集 総合診療×脳梗塞
回復期から慢性期:リハビリテーションからその後年余にわたる慢性期管理
脳梗塞患者をもつ家族の援助をどうするか?
宮本 侑達
1,2
1ひまわりクリニック
2名古屋大学大学院医学系研究科 総合診療医学領域
pp.1393-1397
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023110017
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はじめに
「誰も私の様子は聞いてくれないのですよね」──そうこぼされたのは脳梗塞の夫をもつ 妻であった.筆者は外来でこの言葉を聞いてハッとしたのをいまでも鮮明に覚えている. 家族は,脳梗塞治療の過程で医療従事者から軽視されがちである.実際,脳梗塞の発症は 患者のみならず家族にも大きな影響を与える.脳卒中介護者の約30%が抑うつ症状を有 するとされ1),非介護者と比較して脳卒中のリスクを23%2),死亡リスクを63%増加さ せる3). 一方,家族への援助は家族の不安や抑うつ症状を減少させ4),社会的活動,痛み,気力, 身体的機能,一般的な健康,健康関連QOL,満足度の向上につながる5).また,脳卒中患 者においても身体機能の向上6),不安と抑うつが改善されたという研究結果がある4).家 族への援助は,家族のみならず患者のメリットにもつながる.本稿では「家族」の観点か ら脳梗塞を考えていく.
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