特集 遷延性意識障害患者の家庭復帰
意識障害患者の退院への働きかけ
木本 フミ子
1
1熊本大学医学部付属病院脳神経外科病棟
pp.42-45
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919443
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はじめに
核家族化が進んだ現代では,患者が肉体的障害を残したまま家庭へ退院するのは容易なことではない.ことに長期にわたる意識障害患者いわゆる‘植物人間’と呼ばれる患者が,家庭へ退院できるのはまれなことである.当科においても植物状態患者は,入院したまま死を迎えるか,または家族に便利のよい施設へ転院するという例が多い.
患者の人間性を尊重し,可能性を信じるならば,患者にとって最も望ましいのは,家族のそばで療養に専念できることであろう.また,入院が長期になると,家族の疲労や経済的負担も大きくなり,付き添うことが困難になったり,面会の間隔も遠くなってくる.そこで,意識障害を残したまま自宅へ退院したケースを経験したので,意識障害患者の自宅療養の問題点を考えてみたい.
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