カラーアトラス 褥創・5
脊髄損傷急性期に生じた仙骨部褥創
木村 哲彦
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター・第一機能回復訓練部
pp.486-487
発行日 1981年5月1日
Published Date 1981/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919226
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脊髄に損傷を生じる程度の外傷は,外傷の程度から言えば重傷に属するものである.何よりも脊髄の損傷によって生じた対麻痺が,回復するか否かが判定不可能であるし,受傷部位について手術をするか否かについては,学会でも20年前から結論の出ていない論争の的である.また,第一線の医師も,局所の安静保持という遵守事項を,ただひたすら守ることに専念するあまり,体位変換が二の次になってしまう傾向がある.
看護サイドでも,急性期の局所安静の大切な時期に,2時間毎に神経をすり減らしながらの体位変換は,3人以上の複数で処置できればよいが,そうでない場合,特に少人数での夜勤の折などには,看護の原則などと言ってみたところで物理的に不可能なことに相違ない.できるだけ回転ベッドを用いて省力化に努めるべきではあるが,第一線の救急医療を扱う病院すべてに設備を整えることなど不可能であろう.1年に1回使用するかどうかわからない対象を考えて高価な設備を整えることは,現在の我が国の医療の現状からはとても望めることではない.従って,脊髄損傷が発生した場合には,可能な限り速やかに褥創管理を含めてトータルにケアの行き届く専門病院に移送するべきである.
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