特集 患者の反応をとらえられない時
声に出ない患者の訴えをとらえたい
藤倉 睦子
1
1東京医科歯科大学医学部付属病院脳神経外科病棟
pp.928-931
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918765
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はじめに
現代医学の進歩は,脳神経外科領域においても目覚ましい発展がみられる.しかし,脳神経外科疾患をもつ患者すべてが回復の過程をたどっているとはもちろんいえず,患者の置かれている状態はさまざまである.その中には,意識低下,あるいは昏睡状態の患者,精神活動のない患者というように反応のとらえられにくい患者が多い.そのような患者を前にして,私たちは自分たちの行っている看護がどのように受けとられているのか,また患者は何を望んでいるのかさえわからず,ジレンマに陥り,看護が行き詰まることも少なくない.現実に患者からの反応をとらえることができずに,とてもつらい思いをすることがある.そのつらさはいったいどこから起こるものなのか,脳神経外科病棟に勤務する1スタッフとして私が体験した事例を通し述べてみたい.
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