特集 人工臓器によって生きる
負い目をもって生きる長期透析患者への援助
吉岡 典
1
1国立王子病院腎センター
pp.900-907
発行日 1977年9月1日
Published Date 1977/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918212
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はじめに
長期透析患者は,生涯癒(い)えることのない腎障害の身を,人工腎臓装置という器械の操作によって,一応生存可能な状態にコントロールされながら,日常生活を送っている.もし人工腎臓による治療が不可能となれば,直ちに死に直面しなければならなくなる患者たちであり,器械に支えられるとはいっても,器械の果たす役割は,本来の生体に備わる腎機能にははるかに及ばないため,日常生活では根本的に,厳しい制約の中に生きているのが実状である.
社会や人間生活の変革に伴い,成人病,公害病等が増加し,一方在来疾患でも,患者の延命が果たされた結果,患者数の累積増加という問題が提起され,これら慢性疾患に医家の目が注がれるようになった昨今であるが,我々の日常看護業務は,現実にはどのように変えられ考えられているのだろうか.
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