特集 人工臓器によって生きる
講座‘生命と人工臓器’の学びから—講座‘生命と人工臓器’の概要/透析患者の心的負担について
溝口 満子
1
,
太田 和夫
2
,
岸本 重陳
3
,
水野 肇
1神奈川県立看護教育大学校
2東京女子医科大学
3横浜国立大学
pp.909-913
発行日 1977年9月1日
Published Date 1977/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918213
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はじめに
近年の目覚ましい医療技術の進歩は,数限りない恩恵をもたらしたが,反面,直接・間接的に我々の生命に対して様々の形でインパクトを与えている.ある人は,生命の価値観を変えてしまったとまで言っているが,確かに‘生命は尊い’とだれしも思いながら,どのように尊いのか,何ゆえに尊いのかと思いをいたらせるには,あまりに混沌(こんとん)とした現状のようである,そして高度成長のもたらした医療産業の進出は,さらに生命観を複雑にし,その価値観に影響を及ぼしている.
こうした現状認識のないまま,人工臓器医療の一端に携わり,与えられた状況の中でのみ業務をこなしてゆくとしたら,近い将来大きな落とし穴にはまることも否めない.今一度,生命とは何か,医療はどのように進歩し,社会はこれをどう受け止めているのか,特に経済(医療産業)との関係を明確にしておく必要がある.
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