ベッドサイドの看護
退院したがらない長期入院結核患者への援助
長谷川 博子
1
,
上橋 聰子
1
1鳥取大学医学部付属病院結核病棟
pp.1224-1227
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917147
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肺結核に罹患し,再度の成形手術の甲斐もなく,12年におよぶ療養生活の間に抗結核剤はほとんど耐性ができ,いわゆる難治結核となり,性格的にもゆがめられ,非行患者として転院を繰り返していた患者がようやく治癒するに至ったが,帰る家庭もなく,退院を拒否している患者の看護について報告します.
結核は治ったが難聴が残り日常生活に支障をきたすとか,健康に対する自信を喪失して患者が社会復帰を拒むようでは,本当に病気を治したとはいえない.ホスピタル(病院)の語義は‘他人や客を厚くもてなす場所’という意味であり,医療において看護が占める重要性がうかがわれる.またシュバイツァーは‘投薬’という言葉の意味について‘ランバレネでは今も薬を土人の口の中に入れている.手に渡しただけでは飲まないからだ.医者は2日分とか1週間分とか処方する.しかし,看護婦は1包ずつ口に入れる.その方が重要である’と述べ,看護とは実践(nursing is doing)であり,臨床こそ看護の中核であることを強調している.
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