特集 看護と薬とのたたかい
重すぎる心の苦痛を痛みに託す—20年にわたり麻薬依存傾向のあった患者へのアプローチ
芦村 カズヨ
1
1国立療養所多摩全生園1病棟
pp.1016-1019
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917987
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はじめに
痛みが生体の異常を知らせる重要なものとしても,原因不明の痛みや長期間の痛みの持続は,患者を不安と恐怖に陥れ,更に慢性に持続する痛みは心身の不快や生活上の支障をきたす.
らい疾患も化学療法による治療の確立と発展をみた現在になっても,その病変が神経領域に及ぶと神経の肥厚をきたし,陳旧性神経痛の経過をとり,痛みは慢性に持続する.更に進行したらい病変は神経壊死に陥り,高度の知覚運動麻痺を残すことになる.いずれにしても,らいは治っても後遺症としての痛みを訴え続け,鎮痛剤に依存していく患者もしばしばである.
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