今月の主題 検査異常から考える血液疾患
血液疾患・病態へのアプローチ
出血傾向と血栓傾向
出血傾向患者へのアプローチ
石田 明
1
,
半田 誠
1
1慶應義塾大学病院輸血センター
pp.640-644
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905993
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●出血傾向はこれらの止血機構の破綻によって生じる易出血性変化であり,その病態は血管壁,血小板,凝固系,線溶系の各々の異常として捉えることができる.
●一次止血異常の鑑別には血小板数と出血時間が利用される.出血症状は,血小板数が5万以上ではほとんどみられず,5万未満になると観察されるようになり,1万を下回ると重症化する危険が出てくる.出血時間は血小板数が正常(10万以上)の場合に,血小板の質的異常(血小板機能異常)の鑑別に利用される.
●凝固異常は二次止血異常の大半を占め,凝固スクリーニングで概ね鑑別できる.PTの延長は外因系凝固異常を,APTTの延長は内因系異常を反映する.また,PTとAPTTがいずれも低下している場合は,内因系と外因系の共通部分の異常のほか,肝障害やDICが疑われる.
●血小板数,出血時間,凝固スクリーニングがいずれも正常の場合は,血管壁の異常,線溶系の異常,XIII因子異常の鑑別に進む.
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