ひとやすみ・194
己の手術をだれに託すか
中川 国利
1
1日本赤十字社東北ブロック血液センター
pp.1175
発行日 2020年10月20日
Published Date 2020/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213075
- 販売していません
- 文献概要
臨床外科医は数多くの手術を執刀しても,自分自身に対して執刀することはできない.己が手術を受ける立場になったら誰に託すか,手術を熟知しているが故に外科医の悩みは尽きない.
8か月前ほどから排便時などで力むと右鼠径部に違和感を覚え,2か月前から立位時には鼠径部の腫大が目立ち,鼠径ヘルニアと診断した.成人鼠径ヘルニアは治癒することはなく,次第に増大する.さらには嵌頓して緊急手術に至ることもあるため,手術を行う必要がある.手術としてはさまざまな術式があるが,現在ではメッシュを用いた術式が主流である.しかしメッシュの形はさまざまで,術式にも鼠径部切開法と腹腔鏡下手術,さらに麻酔では局所,腰椎,全身がある.通常はたまたま受診した病院での慣例で行われるが,かつてヘルニアを専門とした私としては術式もさることながら,誰に手術を託するかが大いなる問題である.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.