特集 准看制度廃止への展望—看護の質の向上を目指して
准看生活18年
前嶋 昭子
1
1堺逓信診療所
pp.917-920
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917967
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はじめに
現行の准看護婦制度は1951年に正式に発足した.その目的は,当時の社会的背景として,現実には高校進学率が39.6%であり,看護婦一本では需要を満たせなかったことなどから,暫定的に看護婦の補助者を大量に教育するためであった.このころの社会的環境,教育水準などの客観的な状勢から,准看護婦養成はなんとか正当づけられてきたが,次第に高度経済成長をとげる資本主義国日本は,労働力不足という大きな課題にぶつかり‘人間能力の開発’‘人口資質の向上’を打ち出し,1964年看護高校(高校教育と看護科が併設された新しい職業高校として,准看護婦教育に文部省が一役かうことになった)が発足した.こうして政府は看護婦養成には目もくれず,准看護婦養成のみに視点を注ぐ苦肉の策を練り上げたのである.
准看護婦の急増ぶりを数的に示すと,発足から5年目の1955年では,准看護婦の就業者9121人に対して看護婦が12万0739人であったが,その8年後の1967年には看護婦12万3840人に対して准看護婦12万9234人と約10倍に増加し,さらに上昇の一途を続けた.
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