教育の時代
准看教育に思う
木島 昂
1
1日医広報
pp.1
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908897
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先日,花嫁学校式の短大と,“進学コース”の講師を兼任している友人から,生徒の受講態度について興味のある話を聞いた。「前者の方は講義中も編モノをしたり漫画の本を読んだりで,入学の意図がわからない。一方,後者の方は講師の一言一句を聞きもらすまいとする熱心さに教室はみなぎっている,生徒の年齢もハバが広いのにその向学心にはムラがない。」その後,友人は前者にイヤ気がさして“進学”一本ヤリにした。
経済成長と産業構造変化の協調的循環は国民の教育水準を高める。昭和25年と40年を比較してみよう。幼稚園を経て小学校へ入った者は9%から41%に,中卒者の高校進学は43%から72%へ,さらに高卒者の大学進学率は現在25%になっている。現在就業中の看護婦は約25万人であり,正看と准看の比は准看の方がやや多くなっているが,前記の国民全体の進学傾向から見ると,このままでは准看希望者の質の低下は必然である。すなわち,昭和50年には中卒者の高校進学率は90%と見られている。残りの10%,数にすれば推定約10万人,そのなかからますます発展する工業部門の好条件の労働市場にまず中卒者は吸収される。とすれば現状のままの准看養成所の方は……とその結果は明確である。現行の制度は,もともと昭和23年占領下に,アメリカ式看護婦制度施行と称して,中身は昔ながらの甲・乙二本立てを正・准と呼び変えただけのこと。
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