発言あり
准看廃止
pp.385-387
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204867
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まず,看護業務の問いなおしを
准看制度廃止の是非を論じる前に,まず着眼しておかねばならないのは,何故にこの制度が問題となりうるのかということである.
その①は,昭和26年の保助看法一部改正によって発足したこの制度が,主に看護婦の数の確保を目的にしたものであるとすれば,准看比率が増大しつつある現状においてすら,ここ数年来の高校進学率の増加や全国的な看護婦不足(需要増加)に直面して,その所期の目的を達成しえなくなったことである.その②は,この制度から派生し,内在した諸問題--例えば,低廉な医療介助者としての存在,准看--正看の身分差別,研修という名目での国外からの看護婦導入……などを温存し,看護界に矛盾と混乱を招いていることがあげられよう.これと関連して,その③は,一般に看護職に対して"苛酷な労働条件の下での重い責任"というイメージが形成されている上に,すでに修学中の看護学生や就学している看護婦の中に,看護職の自立性や労働条件に対する多くの疑念,不満がみられることである.その④は,准看制度が最近の医療技術の進歩,疾病構造の変化に応じた技術上の準備行為,看護サービスの要請によって生じる業務領域の拡大や看護の質的変化に,果たしてたえうるものかという疑問である.さらに⑤は,このような看護サービスにかかわる基本的な問いかけに答える施策がないままに,看護婦養成の貧しさを准看制度で補い,それすらも行き詰りを招いた責任は一体どこにあるのかといわざるをえない.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.