保健婦助産婦看護婦令について

　昭和22年7月3日政令第124號を以て保健婦助産婦看護婦令が公布せられた。この政令は，國民醫療法の委任に基くものであつて，從來の保健婦規則，助産婦規則及び看護婦規則を統一し，この三者の資質の飛躍的な向上を期したものである。總則，免許，試驗，業務の五章及び附則から成る。

　總則に於ては主として三者の定義をあげている。なお，看護婦については更にこれを甲種，乙種の二者に分け，甲種看護婦の業務は從來の看護婦と同じであるが，乙種看護婦についてはその業務の内容を制限し，急性且つ重症の患者を除くその他の傷病者又は褥婦に對して，醫師，齒科醫師又は甲種看護婦の指示を受けて看護をなすことにしている。これは，本來は程度の高い甲種看護婦のみにすることが理想なのであるが，今にわかにそうすることは却つて看護婦の數を減じ國民醫療上弊害を生ずるおそれがあるので，我國の實状に即する如く設けた制度である。保健婦，助産婦及び甲種看護婦の定義は，表現は從來と異つているが，要するに從來の保健婦助産婦又は看護婦が行つていた業務を包括的に規定したもので，その實體は從來のそれと異らない。すなわち，保健婦は保健婦の名稱を用いて保健指導を業とする女子，助産婦は助産又は妊婦，褥婦若しくは新生兒の保健指導をなす業とする女子，甲種看護婦は傷病者若しくは褥婦に對する療養上の世話又は診療の補助を業とする女子である。