連載 看護のための集団力学入門(最終回)
集団力学の応用と展望
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.1054-1059
発行日 1973年8月1日
Published Date 1973/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916737
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実践の方向づけ
集団力学は,集団現象を経験科学的に研究すると同時に,アクション・リサーチを強調するゆえに実践科学(praxelogical science)でもある.単に小集団実験によって定式化された法則を,現実の集団場面に応用するというのではなく,常に現実の状況において人問の生存と安定への方向性を確認しながら,具体的な事例にかかわっていくのである.
集団をいっそう活動的にし,発展させようとして働きかけるにしても,これまで述べてきた事がらをゆるぎなき基準と考えて,それに執着したり,あるいは硬直化した運営を固守するとすれば,所期の目標には到達しえない.たとえば,集団決定が個別の決心よりも食習慣の改善に役だったからといって,いつでもどんな集団にでも応用されるとは限らないのである.また,自由な開放的な交流が集団を安定させるといっても,へたをすると単なる気晴らしになったり,前進的な機能を低下させてしまうことになる.
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