特集 学生指導
学生を育てる教師の関わり―集団力学からみた教師が育つ職場集団
森 美春
1
1奈良大学社会学研究科修士課程
pp.172-177
発行日 1999年3月25日
Published Date 1999/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902028
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はじめに
もし自分が看護教師にならなかったとしたら,これほどたくさんの人と出会う人生を送ってきただろうか.学校で毎年新たに迎える学生数を50名として,仮に10年教師をしたら500名の人々と出会うことになる.このように多くの青年期の人々に関わる職業であることは大学の教師とも共通してはいるが,一般大学での学問を通じての出会いとは,人間の生老病死に関わる場での教師と学生の関わりという意味で異なる.
看護教師は,身内の死すら体験したことのない青年期の学生たちが,人の死を前になす術もなく涙する肩をそっと包みながら,自らも生きることの根源的意味を自分に問う,そういった職業でもある.職業を通して出会う青年期にある人々の数とその関わりの深さや質を考えると,その仕事の重みに改めて驚く.
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