連載 看護のための集団力学入門・11
集団発達の諸段階
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.246-252
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916581
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安定と変容の対立
人間は生涯,休みなく変化していく.不安定のときには常に安定を求めるし,安定しすぎていると思われるときには必ずそれを突き崩そうとして緊張する.そこでふたたび,安定を求めて行動する.個人の精神生活における安定願望と変容願望の対立と同様な現象が,集団のなかにも観察される.本章では,どのような集団が変化しやすいのか,集団を変容させる条件は何か,もし変化するとしたらどのような方向を示すのだろうか,さらに,集団の発達過程はどのように理解できるか,といった問題を取り上げて考えることにしよう.
集団には,かなり長期間変化しないで続く,安定した構造をもつもの(安定集団),および一時的あるいは持続的に変化し続ける集団(不安定集団)とがある.また,どんな集団でも,その形成初期には不安定であるのが当然だし,また集団を取り巻く外部状況の変化の余波を受けて集団を改造しなければならないときにも,不安定となる.
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