ベッドサイドの看護
乳癌患者の不安について
中島 京子
1
,
原田 昌子
1
,
野島 良子
2
1京都大学医学部付属看護学校
2京都大学医学部付属病院
pp.542-546
発行日 1974年5月1日
Published Date 1974/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917013
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Ⅰ.はじめに
乳房に‘しこり’を訴えて来院した婦人は,各種の検査の結果,手術が必要だと医師から告げられると,Shocked(ショック),Terrified(ぞっとした),Numb(麻痺したような),Panicky(ろうばい)またはStunned(茫然自失)といった言葉で表現される,極めて強い心理的衝撃を受ける1).
その理由は,ひとつには,乳房という臓器が女性に対して持っている特異な意味に由来するものと思われる.すなわち,女性にとって,乳房は単なる乳汁分泌器官というだけでなく,母性性のシンボルとしての意味と,女性性の唯一の積極的な‘あかし’としての意味をもっている2,3).それ故,乳房の切断は男性がペニスを失うことにさえも匹敵するがごとき心理的外傷を,患者に与える2).
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