連載 医学と文明・2
ガンの水平思考
水野 肇
pp.254-259
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916582
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ガンと自然治ゆ
少し唐突な感じを与えるかもしれないが,まず‘ガンが自然に治った’という話から始めよう.
今から20年も前のことだが,北海道から当時28歳の男が東北大学内科の黒川利雄教授(現・ガン研究会病院長)の所にやって来た.診察すると,外から触れるぐらいの鶏卵大の胃ガンがあって,歴然とした手おくれだった.患者の母親のたっての希望で,武藤東北大教授が手術したところ,リンパ腺転移もひどく,十分にガン細胞がとれずに,残したまま閉じた.まず,半年の寿命とみられたが,8年間も元気に生存,結局,脊椎カリエスで死んだ.
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