ベッドサイドの看護
死の不安におびえる患者への援助—重症肝硬変患者を看護して
田中 孝子
1
1岡山大学医学部付属病院
pp.33-38
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916541
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不安へのアプローチ
病人は,すべて治癒するとは限らない.いかに医学の進歩した現代においても,不幸の転帰をとる人はまだあとをたたない.肝硬変症は,肝疾患の中核であり,種々の肝障害の終末像であるといわれている.それだけに,けっして予後のよい疾患ではない.常に死を考えずにはいられない長い闘病生活,小康状態を保つことはあっても,けっして治癒という陽光にはめぐり会うことのできない患者にとって,精神的不安は多大である.
患者の家族と私たち医療チームの努力にもかかわらず,悪化の一途をたどった肝硬変症患者の心理の推移を紹介し,未熟な私のとった言動をふり返るとともに,もう一度予後不良患者に接すべき私たちの態度を考えてみたいと思う.
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