今月の臨床 子宮内膜症—Controversy '96
子宮内膜症—私はこうしている
9.鎮痛剤の使い方
濱田 和孝
1
1大阪市立住吉市民病院産婦人科
pp.79-81
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902394
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外部からの刺激や組織の病変により生ずる痛みは,いずれも末梢の痛覚受容器が刺激されて発生する.この刺激は一般に組織を傷害するかあるいはその可能性を持った侵害刺激である1).組織損傷の結果生じる発痛物質としては,ブラジキニンが最有力であるが,セロトニン,プロスタグランジン(以下PGと略す),ヒスタミンも関与する.痛覚受容器への刺激は痛覚神経の終末から知覚第一次ニューロンを経て,脊髄後角で情報を第二次ニューロンに伝える.
一方,内臓の痛みは自律神経性の内臓知覚神経が交感神経求心路を経て第二次ニューロンに情報を伝える.第二次ニューロンは視床で第三次ニューロンに,第三次ニューロンは大脳皮質の知覚領に刺激を投射している.また,痛みのインパルスがこの伝導路を上行する過程で各所に側枝を出して興奮を伝え,痛みによる不眠(脳幹網様体),種々の自律神経症状(視床下部),疼痛に伴う二次反応である不安,恐怖,不快感など(大脳辺縁系)の発現にかかわりを持つと考えられる2).
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