特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
II.癌性疼痛
薬物療法の適応
消炎鎮痛剤
岡田 純
1
,
柏崎 禎夫
1
1北里大学医学部内科
pp.841-844
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200423
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はじめに
非ステロイド系抗炎症剤(non steroidal anti—inflammatory drugs: NSAIDs)は,解熱,抗炎症作用も有する代表的な鎮痛薬である。癌疼痛患者に対しても,本剤は単独または阿片系薬剤と併用し優れた疼痛除去効果が得られる。
1986年に,世界健保機構(WHO)は,進行癌患者のより確実な疼痛除去を目的とした三段階ラダー法(図1)による薬物疼痛除去プログラムを発表し,癌疼痛の治療法の普及に努めている。本邦でも,WHO三段階ラダー法が評価されつつあるが,阿片系鎮痛剤に比しNSAIDs使用に頼る傾向が現在も強いことも指摘されている。癌疼痛除去の薬物療法は,各薬剤の薬理作用を良く理解した上で,使用することが重要である。NSAIDsも,広い領域で使用されている薬剤ではあるが,消化性潰瘍を初めとする種々の副作用が存在する。そこで,本稿では,耳鼻科系癌患者の疼痛除去におけるNSAIDsの使用法を,その薬理作用,適応症を含めて解説する。
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