Nursing Study
講評 調査研究の基本をふまえて
本評看護研究委員会
pp.101
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914170
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“研究とは問題をふかく分析し,その現象をひきおこしている真の原因をつきとめていくこと”と小泉明,田中恒男共著の「研究発表の実際」(日本看護協会保健婦会)の中に記されている。真の原因のつきとめ方としては,この報告文のように調査をすることも一方法である。その際には,必ず仮説をたて,この仮説を実証的にたしかめていくのである。
たとえば,本報告について考えてみると,実習を通して結核患者の情緒の不安定なことを知り,これが何に起因するのかを考えてみた。そのためにいろいろな本を読み,他の人たちの研究報告もみた。その結果どうも患者間の小遣い銭の不均衡に原因があると考えたので,調査をしてみることにした。ということであったとしたら,情緒の不安定が小遣い銭の不均衡に原因があるのではないかと仮説をたてたことになる。果して本報告者は患者の情緒の不安定なことからこのような調査をされたのかはわからないが,調査の意図がはっきりわかるような報告文にしてほしい。経済的側面から精神看護に役立てるべく…ではあまりにも莫然としすぎているし,仮説が成立しない。おそらく,本報告者にこの調査をさせたもっと具体的な問題があったのではないかと思う。もし,具体的問題があったとしたら,それを書いてほしい。
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