医療器械器具講座
ナースのための体内挿入金属の知識—特に整形外科手術室勤務の方がたに(グラフ参照)
荻原 一輝
1
1神鋼病院整形外科
pp.65-68
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913917
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はじめに
今日,整形外科領域で行なわれる手術の中で,生体内に金属を挿入して留置しておくことは極めて多い。挿入,留置するものとしては,あるときには鋼線や螺子(らし)のように小さいものであり,あるいは内副子や髄内釘(ずいないてい)のような比較的大きいもののこともあり,ときには人工骨頭のように恒久的に骨の一部と置換してしまうこともある。最近ではこのような体内挿入に適当な強さと耐食性の良い材質の金属が用いられるようになってきたので,一昔前までによくみられたような金属の化学的刺激のための疼痛,発赤,さらには瘻孔形成の如き炎症症状や異物作用を示すことはほとんどなくなってきている。(体内に挿入,留置される異物としては,ここで述べる種類の金属のほかに,合成樹脂製のものが用いられることがある。また,整形外科以外の科で用いられている金属も数多いと思われるが,著者に経験がないので,本稿中では触れない)しかし,いかに優秀な金属でも生体にとっては異物であり,また,当然ではあるが弱ってきたり(これを金属の疲労現象と呼んでいる),さらに腐食(ふしょく)が起こってくる。
このために,少しでもこれらのことを防ぐために,看護婦,特に手術室勤務の方がたでは,これらの金属についてひと通りの知識を持って,取り扱いには慎重の上にも慎重を期してほしいものである。しかし,現在までこのような事柄を解説した記述はほとんどないと思われるのであえて筆をとってみた。
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