レハビリテーションの実際・5
理学療法(3)
片岡 喜久雄
1
1国立東京第二病院
pp.77-79
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912157
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機械的刺激療法
A)マッサージ
マッサージはかなり古くから発達してきたもので,中国や印度では何世紀も前からといわれている。西洋においても,すでに紀元前からマッサージについて述べられているという記録があるが,現在のマッサージが行なわれるようになったのはPehr Henry Ling(1766-1839)以来のことであると思われる,東洋的なマッサージは主として遠心性に行なわれて,その作用の主なものは神経系に対するものであるが,西洋的なマッサージは求心性でその主な作用は血管,リンパ管に対してその循環をよくするものであるという。
1.マッサージの効果
マッサージの効果については,これを否定するものもあるが肯定するものもある。確かに,マッサージは昔ほど重要視されない傾向のあることは否定できない。その効果についての正確なデーターも少ない。しかし現在,一般にいわれているマッサージの作用とその効果は大要つぎのとおりである。局所のリンパ液および動静脈血の循環をよくして滲出物の吸収を促すとともに物質代謝を盛んにして栄養を高める。また病的な産物の排出を助ける。血管運動神経の活動をさかんにして,皮膚に対する直接の機械的刺激と少量のヒスタミンの分泌によって皮膚温度は上昇する。しかし筋力を増強したり末梢神経性の筋萎縮に対しては,まったく効果はないという。
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