やさしい統計学・4
統計調査と統計解析
西 真楠
1
1厚生省統計調査部
pp.80-81
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912158
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統計方法をつかって,世のなかの事象の真理をとらえようとする場合には,まず,特定の同種の事象についての観察結果を多数集めて統計にすることが必要です。つぎに,その統計をもとに,計算したり図形を描いたりして,いろいろの面から深く観察し,統計のなかに潜在している真理を明らかにするわけです。われわれは,個々の事象についての観察結果をえる行為を実査といい,実査から統計を作る行為を統計調査と呼び,統計を深く観察して真理を探る行為を統計解析と呼んでいます。いいかえれば,統計は統計調査の成果であるとともに,統計解析の材料であるということもできます。さて,この統計調査と統計解析の両者は,統計方法を支える2大柱ともいえるものであって,その重要性に甲乙はつけられません。しかし,統計解析の材料となる統計が間違っていたのでは,いかに統計解析が方法論的に適当であり,また,計算が正確であっても,その解析結果は間違ったものとなってしまいます。そして,このような場合の訂正には統計調査の面で訂正するだけでなく,統計解析も仕直さなければなりません。しかも,ときとして新規に統計調査するぐらいの金,人手,時間を要することがあります。それでも訂正できればまだ幸いの方で,金,人手,時間をいかに使っても訂正できないことさえあるのです。
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