特集 整形外科看護の諸問題
脊髄損傷各期の看護
脊髄損傷機能訓練期の看護
小笹 智恵子
1
1国立箱根療養所
pp.41-43
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911626
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緒言
最近の重度脊髄損傷の患者に対する治療医学の向上とともに,それに併行して看護も研究の途上にある。特に最近いちじるしく発達してきたリハビリテーションは,ともすれば暗い人生観にひたりがちな患者の人生観を変え,また看護する我々の方でも,いたずらに終生廃人同様となった患者で,希望と変化のない看護を繰返えすよりも,残存機能を活用させて,患者自身の能力を訓練によって修得させ,再び社会人として復帰して,健康人と伍して生活出来るように回復訓練を行なうことは,我々看護婦としても非常に興味のある問題である。
しかし当面にあたって問題となるのは,この回復訓練の看護というものが,そう簡単に易々と出来るものではないということである。特に重大なことは,初期からはじめた回復訓練の看護の場合,一人の看護婦が終生責任を持つことは勤務の形体上無理なことであり,そのため完全なチームワークと,完全な申し送りの実施である。うまず,たゆまず,患者の精神力を鼓舞しながら,看護婦も忍耐と持続性を養なうことである。訓練というものは,患者の症状の許す限り,休んではならないものである。そして正しい訓練で能率的に介助するのが看護婦の任務である。
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