連載 りれー随筆・205
フィリピンでの幸福
冨田 江里子
pp.1102-1103
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902787
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朝の家事を済ませ,2歳と4歳の子供を連れて,でこぼこでドロドロの坂道を傘をさしながら歩いて下る。熱帯の日差しは容赦せずに照るので,雨傘が役に立つ。勤務先のSt.バルナバマタニティークリニックまで歩いて5分。着いてみると,いろいろな大きさのグアバがいつくか置いてあった。「一昨日お産をした人の家族が,持ってきてくれたの」と,私の相棒のティナが言う。おいしそうなグアバ。申し訳ないような,それでいて幸せな気分にさせてもらえる。幸せは,みんなで分け合うのがここでのやり方。来ていた患者も近所の予供たちも,グアバにかじりついた。まだ青いグアバは種が多く固い。でも,馴れるとこれが美味しくなる。お腹にも幸せが入った。さあ,はじめよう。こんなふうに,私の1日はスタートする。
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