講座
カンセリングの要点〔1〕
岡崎 昇
1
1茨城キリスト教短期大学
pp.31-33
発行日 1958年12月15日
Published Date 1958/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910748
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
相談とか相談助言と邦訳されるカンセリングが教育や社会事業や産業社会の人間関係の中に用いられるようになつてきたのは,数年来のことである。従来から問題児童や適応異常あるいは神経症の人達を指導し援助する方法として,ガイダンスやソーシャル・ケース・ワークや精神分析学などの諸方法があつた。カンセリングは,最初ガイダンスの(1908年に職業指導のためのカンセラーの養成が始められたとき)上手なそして効果的な技術として取りあげられたが,後段々と教育社会に用いられて新しい教育技術として用いられた。1930年以後は,人の人格の全体を問題にする方向へとすすんできた。しかしこれらのカンセリングも,1942年にカール・R・ロジヤーズ博士が“カンセリングと精神療法”をあらわすに及んで,援助関係に新しい一つの方向をもたらすに至つたのである。
伝統的なカンセリングは,テストや調査—生活史など—を行つて,個人のもつている問題を診断して適切な情報を与えることをその中心的な仕事としている。即ち患者を苦しめている問題の原因がどこにありどこからきているかを専門的に診断して“人間的信頼の関係において,患者が本質的適応を得るよう助言し援助する過程”をカンセリングとしている(ウィリアムソン博士)。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.