講座
カンセリングの要点〔2〕
岡崎 昇
1,2
1茨城キリスト教大学
2立教大学学生相談所
pp.50-53
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910774
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私は先に“カンセリングの問題の中心は人であつて表明されている問題ではない”即ち人を苦しめ混乱させている問題それ自体にあるのではなくて,問題を感じ問題としている人が問題なのである。従つてカンセリングは問題解決による社会的順応を目的とするのではなくして,患者自身が自己自身に適応する心理的健康さを目標とするのである。即ちカンセリングは対症療法よりも根本的治療による人格転換を意味しているという事を述べた。更にカンセリングの理論を助けている人格形成に関する相互作用の理論を述べた。しかしロジヤーズ博士も言つているように,人の成長の可能性に関する理論は,実際の臨床活動から生まれたものである。またこの仮設的な理論は,カンセリングを助け深めるものであるという事を述べた。
カンセリングは1つの方法を用いているが一般に考えられているように技術ではない。カンセリングの方法の中心は,先ず第1,2人の人の間に起る1つの特殊な関係の過程であるという事を強調しておいた。ここでは,この特殊な関係に関する仮説とその方法について述べる事にしよう。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.