扉
ユーモアのあるいいわけ
pp.4
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910655
- 有料閲覧
- 文献概要
今年になつて機会があつて外国のお客様を案内して京都に出かけました。京都といえば観光とすぐ結びつくわけでありまして,私共も西下の目的は施設視察であつたのですが,その中の1日をさいて御多分にもれず観光も実施しました。数多い観光物のうちに,誰もが必らずといつてもよい位教えこむものの1つに,「智恩院」があります。私自身は智恩院のすきなのは,あの何百段もある石段の下から見上げた山門の美しさなのです。特に壮重な屋根のあのなだらかなスロープといつたらおかしいかもしれませんが,重々しくて而も優美,松の緑に映えるいらかの波,私は仏教徒ではないのですが,寺院の建物は大そう好きなものなのです。この智恩院を訪ねると,まず「左甚五郎の忘れ傘」があり,「うぐいす張りのローカ」があり,そして奥の院にはいわゆる「智恩院の7不思議」があるわけで,観光客はそれをたのしみにいくもののようです。私共は従来何辺となくここを訪れましたが,大ていの場合時間に制約されて初めの2つだけはみたり,ためしたりしますが3つめの「7不思議」をみたりきいたりしたことはなかつたのですが,今回は機会を得てその経験をしました。ところがそのうちの1つ2つに,非常にユカイなユーモアのあることを理解して大そうたのしく思いましたので,御紹介しようと思いついたわけです。
「宝物」を拝観するために何がしかを寄進しますと,特別に1人の案内僧がついてくれて説明をしてくれるわけです。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.