主張
ユーモア
pp.5
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200389
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親類の子供で,今年6才になる女の子が,大人の話の中にはいつて一人前にまぜ返していた或夕食後のことでした。どこからきいて来たのか外国の名前を知つていて,「私,ブラジルへお嫁さんにいくわ」というので,"ブラジルへお嫁さんにいつたら色の黒い赤ちやんが生れるかも知れないわよ,そしたら何て名前つけるの?"とからかったら,"そしたらいいわ,グリコつてつけるわ"そこですかさず,"ぢや,色の白い赤ちやんが生れたら何つてっけるの?""エート,エート,キヤラコつてつけるわ"そこで大の大人の面々ぎやふんと負つてしまいました。即座に出たこの子供の頓智といいますか,ユーモアのセンスにはいささかびつくりの体でした。其の後しばらくして朝日新聞の天声人語の欄でよんだ記事に次のようなのがありました。アメリカの駐日大使マーフイ氏が,赴任後間もなく大阪市を訪問した時のこと,飛行機がら降り立つた氏を出迎えた大阪市長が,少しばかり固くなつて握手をした其の折も折,日本名物の地震がゆれました。そしたらマーフィ大使少しもあわてず市長に向つて曰く,"あなたは私を歓迎するのに大地をゆさぶつて下さいましたね"と,ところが市長はすつかりあわててそのユーモアが解せないで"ハアーハアー"つて言つて冷汗をかいただけでありました。
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