時の動き
…新らしいクレムリン…,他
奥山 益郞
1
1朝日新聞
pp.42-43
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910424
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ソ連は7月3日モトロフ,カガノヴイツチ,マレンコフ,シエピーロフの四首脳を党の最高政策決定機関である中央委員会幹部会から追放し,また閣僚の地位もうばつたと発表しました。これまでいくたびか「粛清」の嵐の吹きまくつたソ連ですが,こんどもまた一種の粛清に違いないでしよう。もつとも,ウヤムヤのうちに葬り去る過去のやり方は改め,一応中央委員会という正規の機関の権限内でおこなわれたのですから,まずソ連も一進歩したといえましよう。もつとも処刑されたのかもしれないという報道がありますが,これは当てになりません。
このたびの粛清の目的はスターリン派の残党の整理でした。1953年3月スターリンが死に,マレンコフが首相に就任,1955年2月解任ついでフルシチョフによる集団指導と,ソ連の指導部はあわただしくうつり変りました。この間に部内の勢力の消長はめまぐるましいものだつたようです。一体モロトフとかカガノヴイツチとかいう,スターリンの協力者がスターリン死後数年に亙つて生き残つていたことの方が不思議なようでした。
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